社団法人 福井県建築士会

福井県の建築士・建築事務所の業務改善と進歩、社会貢献を目的とした公益法人です。

MAP
社団法人 福井県建築士会
MENU

新しい建築確認手続きの要点

平成19年6月20日に、建築確認・検査の厳格化を柱とする改正建築基準法が施行されました。
一昨年末に発覚した耐震偽装事件の教訓を踏まえ、建築物の安全・安心の確保を目的とするものです。
改正法では、構造計算適合性判定制度の導入、確認審査等に関する指針の制定及びそれに基づく審査の実施等により、建築確認手続きが大きく変わりました。


申請図書の訂正について

●軽微な不備がある場合の補正が認められる例
不明確な点がある場合の追加説明書の提出が認められる例について。
詳細をPDFで見る
→詳しくはPDFをご覧下さい。

●申請図書の補正の仕方について
申請図書の補正の仕方ですが、上書き修正や正しい図面の差し込みなど、審査経過が残るかたちで行うことになっており、間違った図面を抜き取って正しい図面に入れかえる、いわゆる差し替えによる方法はとらないことになっています。

●建築主事等に、補正や追加説明書を提出する場合について
建築主事や指定確認検査機関(以下「建築主事等」といいます。)が、補正や追加説明書の提出を求めるときは、小出しにするのではなく、ひととおり審査した上でまとめて指示すべきとされています。
補正や追加説明書の提出の指示は文書通知によることになっていますが、審査の円滑化のために、文書通知の前に建築主事等が申請者側に電話等で説明等を求めることはもちろん差し支えありません。

●建築基準関係規定の審査に関係しない部分での誤記、記載漏れ等について
建築基準関係規定の審査に関係しない部分(例えば、郵便番号、住所等)での誤記、記載漏れ等については、文書通知によらずに、適宜訂正印による補正を行うことになっています。
施行規則で「付近見取図」と定められているのに対し申請図書では「案内図」と記されていたために補正を求められた例も報告されておりますが、このような審査上支障のないものについては、あえて補正を求める必要はないところですし、仮に整理の都合等で補正を求めるにしても、適宜訂正印による補正で済ますべきものです。
いずれにしても、建築主事等に対して、申請者側に無用の負担を強いることのないよう要請しているところです。


申請図書の記載の仕方について

●申請図書の記載の仕方について。
申請図書の記載の仕方については、建築基準関係規定への適合を審査するのに差し支えのない範囲で、ある程度柔軟に取り扱ってよいことになっています。

 @ 施行規則において各図書に明示すべき事項が定められていますが、他の図書に明示することによって、
   本来の図書に明示しないで済ませることができます。

 A 具体的な数値や図の替わりに、建築基準関係規定に適合することが明らかである旨を表した
   簡便な記載によることも可能です。(例:前面道路幅員30m、適用距離25mのため道路斜線制限に適合等)

 B 例えば、各階平面図について、意匠や各種設備等の各階平面図を適宜別葉で提出しても差し支えありません。

●設備機器等について
設備機器等については、確認申請時に具体的な品番が決まっていないケースが多いと聞きますが、その場合には、一定の仕様範囲(寸法、材料、性能等)を示した標準的な図面あるいは一以上の採用候補機種の図面を添付し、当該設備機器等又は当該設備機器等と同等以上の設備機器等を用いることを明示して下さい。
なお、完了検査時等には、採用した具体の機種を説明していただきます。

●構造計算について
構造計算に関し、構造計算概要書等の新しい図書が定められましたが、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造それぞれの構造計算概要書の記載例が作成されていますので、
(財)建築行政情報センターのホームページ(http://www.icba.or.jp/)にアクセスし、参考にして下さい。

●指定確認検査機関から特定行政への報告に用いる、いわゆるチェックリストについて
指定確認検査機関から特定行政庁への報告に用いる、いわゆるチェックリストについては、確認申請者からの提出図書として位置付けられているものではありませんので、申請者の意志に反して指定確認検査機関への提出を義務付けられるものではありません。


認定書の写しの取り扱いについて

●認定書の写しの提出の省略について
建築基準法施行規則の一部が平成19年11月14日に改正され、確認申請時の認定書の写しの提出については、建築主事等が求める場合に限られました。
写しの提出を必要としない認定書については、審査機関のホームページや窓口において公表していますので、申請に当たって、事前相談時等に確認してください。(福井県のHP)

●認定書の写しのうち、別添付図書の写しについて
認定書の写しのうち、別添図書の写しについては、すべてのページを提出する必要はなく、認定を受けた仕様が記載されたページを適宜選択して提出すればよいことになっています。
例えば、耐火構造等(外壁、防火設備、屋根・軒裏など)の認定を受けている構造方法についていえば、断面の構造、材料の種別及び寸法等が示されたページの写しで足ります。
また、その写しをもって、当該耐火構造等の構造詳細図に替えてよいことになっています。

●ホルムアルデヒド発散建築材や防火材料について
ホルムアルデヒド発散建築材料や防火材料については、確認申請時に具体的な使用材料が決まっていないケースが多いと聞きますが、その場合には、使用材料の種別(例えば、F☆☆☆☆、不燃材料など)を示せばよく、認定書の写しの添付は不要です。
なお、完了検査時等には、採用した具体の使用材料を説明していただきます。

●鉄骨製作工場に係る認定書の写しについて
鉄骨製作工場に係る認定書の写しについても、確認申請時にはどの鉄骨製作工場に発注するか決まっていないケースが多いため、その取り扱いに関して質問が多いところです。
鉄骨製作工場が決まっていない場合には、構造耐力上主要な部分である接合部並びに継手及び仕口の構造詳細図に鉄骨の溶接部を書き込むことにより、認定書の写しの添付は不要です。
後に鉄骨製作工場が決まった段階で認定書の写しを提出していただき、それに基づき中間検査等が行われることになります。


構造計算適合性判定について

●構造計算適合性判定の対象となる建築物について
構造計算適合性判定の対象となる建築物は、いわゆるルート2以上の構造計算を行う建築物です(ルート1でも大臣認定プログラムを使うと判定の対象となります。)。
高さが20mを超える鉄筋コンクリート造、地階を除く階数が4以上の鉄骨造、高さが13m又は軒の高さが9mを超える木造等が代表例ですが、耐力壁や柱の水平断面積の少ない鉄筋コンクリート造やスパンが大きい鉄骨造など、比較的小規模な建築物であってもルート2以上の構造計算が適用され、対象となる場合があります。

●構造計算適合性判定について
構造計算適合性判定についても、あくまでも建築基準関係規定に適合するか否かの観点から判定が行われるものです。
したがって、建築物の構造関係技術基準解説書等で「・・・が望ましい」等の表現で示されている事項など、構造設計に係る推奨事項の採用を指導するようなことは適切でなく、そのことを指定構造計算適合性判定機関等に通知しているところです。

●構造計算適合性判定について
建築確認の審査と同様に、構造計算適合性判定についても、事前相談を実施してほしいとの要望が寄せられています。
このため、どこで構造計算適合性判定を受けるかについて建築主事等が承知している場合には、指定構造計算適合性判定機関等においても、不適合箇所の指摘を含め事前相談にきめ細かく対応するよう要請しているところです。

●構造計算適合性判定に係る正式な文書通知について
構造計算適合性判定に係る正式な文書通知は建築主事等を経由して行うこととされ
ていますが、審査の円滑化を図るため、それ以外に適宜、構造計算適合性判定員が直
接申請者側に説明等を求めることは差し支えありません。


計画変更の取り扱いについて

●計画変更の確認手続きが不要な「軽微な変更」について
計画変更の確認手続きが不要な「軽微な変更」については、施行規則第3条の2に規定されています。なお、そもそも当該建築計画に適用される建築基準関係規定に関係のない計画変更は、確認手続きを要しません。

●施工の関係上やむを得ず発生する可能性の高い変更事項について
施工の関係上やむを得ず発生する可能性の高い変更事項について、それへの対応を当初の確認申請時の図書においてあらかじめ検討しておくことにより、計画変更の確認手続きを行わないで済ますことができます。
この「あらかじめの検討」の例として、以下の事例が(財)建築行政情報センターのホームページ
http://www.icba.or.jp/)に掲載されていますので、参考にして下さい(「構造審査・検査の運用解説」第4章第2)。

 ・くい芯ずれを考慮した検討
 ・くいの長さの変更を見込んだ検討
 ・小ばりの位置の変更を見込んだ大ばりの検討
 ・大きさの変更を見込んだスラブの検討
 ・はり貫通孔の大きさと位置の変更を見込んだ検討
 ・壁開口の位置の変更を見込んだ検討
 ・スラブの開口及び段差の変更を見込んだ検討

以上のほか、この「あらかじめの検討」により計画変更の確認手続きを行わないで
済ます方法については、様々なケースへの応用が可能なものです。

●計画変更の確認手続きが必要な場合
計画変更の確認手続きが必要な場合においても、簡易な計画変更に対して特別に短い審査期間を設定するなどの方法により手続きを迅速に行うよう、建築主事等や指定構造計算適合性判定機関等に要請しているところです。
もちろん、大臣認定に係る変更手続きにおいても迅速な処理に配慮します。

●構造計算適合性判定の対象建築物に係る計画変更について
構造計算適合性判定の対象建築物に係る計画変更であっても、変更内容が構造耐力に関係しない場合には確認手続きのみでよく、再度の構造計算適合性判定は不要です。


●詳しくはこちらのPDFをご覧下さい

 実務者向けのわかりやすい 新しい建築確認手続きの要点


(社)福井県建築士会 事務局 MAP
〒910-0854 福井市御幸3-10-15 福井県建設会館2F [TEL] 0776-24-8781 info@fukuiken-kenchikushikai.or.jp